ガラガラさんのおはなし
その１４ 聖夜
ガラガラさんのカレー屋さん。
今日の夕方は昨日より、
なんだか少しだけあたたかく感じます。
ルーシィをつれた買い物のかえり、
ガラガラさんはより道に、
サンドさんのお店を窓をのぞきました。
中は静かで、
ガラガラさんはサンドさんがいないと思いました。
テーブルのおくで、
オレンヂ色のハンチングぼうしが
かさっとおちました。
サンドさんはぼうし屋さん。
いつも明け方ちかくまで、
いろんなぼうしをつくっています。
ハンチングぼうしに手をのばす、
うたたねからさめたサンドさん。
窓のそとからのぞくガラガラさんは
なんだかたのしくなりました。
すこしうす暗い、サンドさんのお店。
ふしぎなものがたくさんみえました。
すこし背中をまるめたサンドさん。
おくからなにやらガサガサと
大きなはこをだしました。
はこの中には
お話にだけきいた、
とおい国のおもちゃのたてものが
はいっていました。
くしゃくしゃになったハンカチを
ポケットからとりだして、
サンドさんはプロペラのほこりを落としています。
夕方が夜へと、かわっていきます。
うす暗いサンドさんのお店の中が、
すこしよく見えはじめます。
夕食のカレーのじゅんびをしなければなりません。
けれどもガラガラさんは
なぜだかまだもうすこし、
サンドさんをながめていました。
メリーゴーランドだと、
ガラガラさんは思いました。
けれどもサンドさんはほこりのおちたプロペラを
おもちゃのたてもののてっぺんにつけました。
おもちゃのたてもの。
てっぺんのプロペラ。
そうしてたてものにそえられた、
８ほんのろうそく。
のぞいた窓はガラガラさんの息で
すこし白くなっていきます。
８ほんのろうそくに、火がともりました。
はじめすこしだけゆれたプロペラが、
くるくるとまわりはじめました。
おもちゃのたてもの。
中にいたロバや、よげんしゃや、
天使たちが、
プロペラにあわせてまわりはじめました。
うす暗いサンドさんのお店が、
ほんのりと明るく、あたたかくなりました。
ガラガラさんのカレー屋さん。
おおいそぎで
夕食のカレーのじゅんびをしないといけません。
けれどもガラガラさんは、
ルーシィの背中のあさぶくろをさぐりました。
すこしにっこりしたガラガラさん。
いちばんあかいりんごを、
窓のすみにおきました。
今日もいい、聖夜です。