ガラガラさんのおはなし

その13 グランさん


ガラガラさんのカレー屋さん。

じょうれんさんの、グランさん。

とってもゆっくりあるきながら、

ガラガラさんのお店のまえの
メイプルのベンチでやすみます。

三日にいちどは
お買い物のガラガラさんと、
森のてまえでであいます。

とってもゆっくりあるきながら、
カレー屋さんにやってきます。

すこしつぶれたぼうしと、革のカバン。
ベンチのひじおきに
つかい古されたつえをひっかけるぐらいに、
ガラガラさんはお店のドアをあけます。

ガラガラさんの特製ラッシィ。

お店のそとでみるラッシィは
くもをうつしたようにすずしげでふわふわしています。

グラスの中でこおりのまわる音がします。

じょうれんさんの、グランさん。
とってもゆっくりラッシィをのみながら、
とってもゆっくりえがおになります。

ガラガラさんはそのゆっくりが大すきです。

お店の中のガラガラさんに手をふって、
ゆっくりかえるグランさん。
後ろすがたもゆっくりです。

メイプルのベンチのうえ、
のみおわったラッシィのグラスといっしょに、
すこしつぶれたぼうしだけ、
なぜだかきれいにならんでいました。

もうグランさんの、
後ろすがたはみえません。

ガラガラさんはぼうしをだいじそうに
とりあげました。

メイプルのベンチのうえ、
ぼうしの中からコロコロゆれて
まっかなマンゴーが、
てじなのようにとびだしました。

今ごろグランさんは
きっとゆっくり、えがおになっています。

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